マイクロ波エンジニアが暗記しておくべき重要な数値
エンジニアが打合せに呼ばれた際に、『後で計算します』ではなく、その場で電卓も使わずに値を算出すると会議が円滑に進む(エンジニアとしても格好いい)。ここでは、マイクロ波設計において、よく出てくる計算、数値を紹介する。
①キャパシタのインピーダンス(1pF、1GHz)
インピーダンスは-j160。
\(\displaystyle\rm Z=\frac{1}{jωc}=-j\frac{1}{ωc}=-j\frac{1}{2πfc} =-j\frac{1}{2π×1×10^9×1×10^-12} \)
\(\displaystyle\rm =-j\frac{1000}{2π}≒ -j 160\)
②インダクタのインピーダンス (1nH、1GHz)
インピーダンスは-j6。
\(\displaystyle\rm Z=jωL=j2πfL=j2π×1×10^9×1×10^-9 ≒ j 6\)
③オープンスタブのインピーダンス( 特性インピーダンスZ0:50Ω、電気長:θ45° )
\(\displaystyle\rm Z=Z_{0}\frac{Z_L+jZ_0tanθ }{Z_0+jZ_Ltanθ }= Z_{0}\frac{1+\frac{jZ_0tanθ}{Z_L}}{\frac{Z_0}{Z_L}+jtanθ} =\frac{Z_{0}}{jtanθ} =-j\frac{Z_{0}}{tanθ} \)
\(\displaystyle\rm =-j\frac{50}{1}= -j 50\)
④ショートスタブのインピーダンス( 特性インピーダンスZ0:50Ω、電気長θ:45° )
\(\displaystyle\rm Z=Z_{0}\frac{Z_L+jZ_0tanθ }{Z_0+jZ_Ltanθ }=jZ_{0}tanθ =j 50\)
⑤反射係数、VSWR、リターンロス、ミスマッチロスの関係
VSWR=2、リターンロス≒10、ミスマッチロス≒0.5は暗記。
\(\displaystyle\rm Γ=\frac{Z_{L}-Z_{0}}{Z_{L}+Z_{0}}\)
\(\displaystyle\rm VSWR=\frac{1+|Γ|}{1-|Γ|}\)
\(\displaystyle\rm R・L=-20log|Γ|\)
\(\displaystyle\rm M・L=-10log(1-|Γ|^2)\)
⑥筐体内部空間の減衰量X(導波管のカットオフ周波数以下の減衰量)
周波数4GHzにおいて、筐体幅25mm、筐体長さ25mmで減衰量25dB程度。
\(\displaystyle\rm X=\frac{17.4π}{λc}\sqrt{1-(\frac{λ_c}{λ})^2}\) [dB/m]
\(\displaystyle\rm =\frac{0.055}{λc}\sqrt{1-(\frac{λ_c}{λ})^2}\) [dB/mm]
ここで、λcは筐体(導波管)の幅で決まるカットオフ波長(λc=2a)、λは減衰量を計算したい周波数の波長である。
波長でなく周波数で表現したい場合、上式は下式に変形できる。
\(\displaystyle\rm X=0.18f\sqrt{(\frac{f_c}{f})^2-1}\) [dB/m] ※fの単位はGHzとする。
計算例を下図に示す。