マクスウェル方程式は下表に示すとおり、ガウスの法則(電界)、ガウスの法則(磁界)、ファラデーの法則、アンペール・マスクウェルの法則の4つで構成される。本章では、マクスウェル方程式に説明に必要なベクトル解析を説明した後、各法則を紹介する。

 3.1 ベクトル解析

 ベクトル解析には下記の2つの意味がある。
  ①大きさと向きを持つ量であるベクトルを用いて物事を考えること
  (スカラーは大きさだけを持つ量)
  ②ベクトルを微分、積分すること
 マクスウェル方程式には、ベクトル解析が使われており、各方程式の意味を理解するためにはベクトル解析を理解する必要がある。

 3.2 ガウスの法則(電界)

 ガウスの法則(電界)の意味は以下のとおり。
  ・電荷は静電界をつくる。任意の閉曲面Sを通る電束Dは、閉曲面に囲まれた全電荷Qに比例する
  (Qは閉曲面Sの中の全電荷)。
  ・電荷が作る静電界は、正電荷から発散し、負電荷に収束する。

 3.3 ガウスの法則(磁界)

 ガウスの法則(磁界)の意味は以下のとおり。
  ・任意の閉曲面Sを通る磁束Bは、ゼロである。
  ・任意の点における磁界の発散は、ゼロである(磁気モノポールは存在しない)。

 3.4 ファラデーの法則

 ファラデーの法則の意味は以下のとおり。
  ・ある面を通る磁束の変動は面の境界にあたる経路に起電力を誘導する。
   また、変動する磁界は回転する電界を誘導する。
  ・回転する電界は、時間変動する磁界からつくられる。

 3.5 アンペール・マクスウェルの法則

 アンペール・マクスウェル の法則の意味は以下のとおり。
  ・ある面を電流や変動する電束が通れば、その面の境界にあたる経路に回転する磁界が
   生まれる。
  ・回転する磁界は、電流と時間変動する電界からつくられる。