集中定数回路(Lumped Circuit)とは、Lump(かたまり)という言葉が表すとおり、長さが無視でき素子が 1点 に 集中 していると想定する回路である。該当回路が扱う波長λ(V/f)が、回路形状に対して十分大きい場合、集中定数回路とみなすことができる。集中定数回路の場合、素子間を接続する線路は波長に比べて十分短く位相差が無視できるため、線路上の電圧、電流はどの位置でも一定とみなせ、回路の特性に影響を与えない。
一方、分布定数回路(Distributed Circuit)は、Distribute(分布している)という言葉が表すように、線路上 に 回路素子 が 均一分布 していることを想定した回路である。該当回路が扱う波長λが、回路形状に対して十分大きいとみなせない場合は、分布定数回路として考えなければならない。分布定数回路の場合、素子間を接続する線路も回路特性に影響を与え、線路上の位置による位相差によって、電圧、電流の大きさが変わることを考慮して設計を行う必要がある。
考え方としては、分布定数回路の中の特例として、該当回路が扱う波長λが、回路形状に対して相対的に十分大きい場合は集中定数回路とみなすことができるということである。
例として、下図のような抵抗RとキャパシタCを実装した基板の場合、集中定数回路とみなせる場合は等価回路①となり、A点、B点の電圧、電流は同じ、分布定数回路として考える場合は等価回路②となり、伝送線路の特性によりA点、B点の電圧、電流は異なる(詳細は2.2項参照)。